いま、そこにある「悩み」

では、現代の日本に生きる薄毛男性は、具体的にどんなことを気に病んでいるのか。結島大学大学院の荒瀬誠治先生(ヘルスバイオサイェンス研究部 皮膚科学教授)たちが行った「AGAとストレス・生活QOL」調査を見てみましょう。ちなみにQOLとはクオリティ・オブ・ライフの頭文字で、生活の質という意味合いです。

荒瀬先生らはまず一万人の成人男性に対して頭髪に関するアンケート用紙を送り3177から回答を得ました。この3177人のうち「薄毛を自認している」と答えた1710人が本調査の対象者です。

さて、1710人のむかで、さらなる質問に答えてくれたのは1494人。「薄毛を気にしているか」どうかという設問では、86%を超える1293人が「気にしている」と回答しました。ちなみにこのI2九三人のうち、約66%に当たる850人が薄毛に対して何らかの対処をしていますが、薄毛を「気にしていない」と答えた201人のなかにも、何らかの対処をしている人は64人(32パーセント)いました。気にはしていないけれど抜け毛対策は講じているという人たちには、「これ以上進行させたくない」との思いがあるのかもしれません。

ここからは、薄毛を「気にしている」と答えた1293人だけを見ていきましょう。誰に対して気にしているのか、複数回答でその対象をたずねると、こんな結果がでました。

  • ・職場、学校などの同僚       43%
  • ・妻、ガールフレンド、パートナー  40%
  • ・友人、知人            38%
  • ・家族、親戚             23%
  • ・他人(女性)             44%
  • ・他人(男性)             30%

多くの方が家族、知人、他人を間わず、女性から「髪の薄い人だ」と思われることを気にしているようです。「薄毛をどう思っているか」という質問に、「異性に対して魅力的でない」と答えた人が65.4パーセントいたことからも、それがうかがえます。同じ質問
では、「薄毛はかっこ悪い」と思っている人が75.3%にも達しました。

薄毛が進んだことで生じた精神的な変化、行動面での変化をたずれてふそと、返ってきた答えは荒瀬先生たちが予想したより深刻でした。

たとえば、自分を「外見的に魅力的ではない」と感じている人が52.4%、「髪が完全に生えていたときに比べて自信がなくなった」という人が40.4%もいたのです。

また、50.6%の人が「ほかの人たちが私の頭の薄くなったところを見ているような気がする」、31.7%の人が「ほかの人たちが、私の頭が薄いことについて話しているようだ」と悩んでいます。

さらに、「自分は仕事上でほかの人だちと同等の機会を与えられていないと思った」という人も15.5%いました。

行動面では「スポーツをするのをためらうようになった」と、自分にブレーキをかけてしまう人が19.3%いたことには、荒瀬先生も「驚いた」そうです。

当たり前ですが、髪が薄くなったからと言って、その人の人格が変わるわけではありません。しかし、理性でそう分かってはいても、セルフイメージを必要以上に落とし、他人の日を気にしてしまう人が少なくないのです。



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