毛髪についての基礎知識

さて、毛髪の重要性が分かったところで、つぎは毛髪の発生について見ていきましょう。受精卵がまだ胎児になる前の胚子期(妊娠八週末まで)の胎生三週から八週ぐらいで皮膚が発生し、九週を過ぎる頃に原始毛芽(発生初期の毛包)が形成されます。人間の皮膚は表面を覆う表皮と、その奥にある真皮に大きく分けられますが、毛芽は表皮から真皮層に向かって伸び、胎生六ヶ月にはほぼすべての毛包が完成しまず。

毛包は読んで字のごとく、毛髪を包む鞘です。毛髪は皮膚からでている毛幹と、皮膚の中に隠れている毛根に分かれていますが、毛包は中側の毛根を包んでいます。器官としてはごく小さいものですが、外毛根鞘から内毛根鞘小皮まで五層に分かれ、非常に複雑な構造です。

毛包の周りには毛細血管が網の目状に張り巡らされ、髪の成長に必要な栄養分や酸素などを毛包に送り届けています。

毛根のいちばん下に蟹のハサミのような形の毛球がありますが、この毛球部の底にある窪んだ部分が毛乳頭です。毛球の内部には、毛乳頭を取り囲むように毛母細胞がたくさん存在しています。育毛剤のコマーシャルなどにもよく登湯する毛母細胞はここにあるのです。

毛母細胞は毛細血管から栄養分を吸収しながら増殖、分化を繰り返して毛髪を作り、上に伸びていきます。これが、毛髪の伸びる仕組み。そして、毛乳頭が毛髪の生産司令室というわけです。

母体のなかで10ケ月ほど過ごした胎児は、誕生してくる時点ですでに毛が生えています。その後、一歳の誕生日を迎える頃までには頭の毛がいっせいに抜けてしまいますが、これは新しい毛と交換するための、新生児特有の生理的現象ですから、心配には及びません。

ちなみに毛髪の色は個々のメラニン色素によって決まりますが、メラニンを生みだしているのは毛球のなかにある色素細胞(メラノサイト)で、ここから毛母細胞にメラニン色素が受け渡されるのです。

毛包の上部に目を移すと、バルジという少し膨らんだ部分に立毛筋が付着しています。立毛筋とは名称から分かるように、毛を立たせる筋肉。交感神経に支配される平滑筋で、寒さなど外部からの刺激や、恐怖を感じたときなどに収縮し、毛を逆立たせます。いわゆる鳥肌を立たせるのが、立毛筋の働きです。

バルジの上部にある脂腺からは、皮脂が分泌されて皮脂膜を作り、私たちの皮膚や毛を乾燥から守るなど、保護する役目をしてくれます。



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